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東京メトロ南北線・東急目黒線・埼玉高速鉄道線について

 社会交通工学科 1年 西山 翔太郎

・概要

 東京メトロ南北線は、1991年11月29日に駒込〜赤羽岩淵間で部分開業し、2000年9月26日に目黒から赤羽岩淵までの21.3km,19駅が全線開業した。このうち目黒〜白金高輪間は都営三田線と共用で営業している。線内に地上区間が存在せず、すべての駅が地下にある。全線でATOによる自動運転とワンマン運転を実施しており、直通運転している全駅にホームドアシステムを装備している。南北線全駅のホームとホームドアは8両編成まで対応可能に設計されているが、ほとんどの駅で6両分しか整備されていない。当初は全線開通時に実施される予定だった8両編成化は未定である。


南北線のホームドア

写真1 南北線のホームドア



 東急目黒線は目黒〜日吉間11.9km,計13駅で、線路戸籍上は田園調布と日吉の間は東横線の複々線区間に含まれるため、目黒駅から田園調布駅までとなる。東急目黒線は、東横線のバイパス路線として整備して同線の混雑を緩和するため、目蒲線の目黒〜多摩川間を大規模に改良し、さらに東横線の多摩川〜日吉間を複々線化して接続する工事が行われた。これに伴い、2000年8月6日に目蒲線は多摩川駅を境に分割した上で、目黒側の列車が東横線の複々線部分を武蔵小杉駅まで走る、目黒線が誕生した。目黒線としての運行開始と同時にワンマン運転も開始した。一方、蒲田側は東急多摩川線になった。同年9月25日から営団南北線と都営地下鉄三田線と相互直通運転を開始した。さらに不動前〜洗足間の地下化が行われた後の2006年9月26日からは急行運転が開始され、目黒から武蔵小杉までの日中の所要時間は4分短縮された。2008年6月22日に武蔵小杉〜日吉間が開通し、急行列車を増発した。また、新線を建設する予定の相模鉄道との相互直通運転が2019年度を目途に予定されている。
 埼玉高速鉄道線は、赤羽岩淵から浦和美園までの14.6km,計8駅で、2001年3月28日に開業した。南北線を延長した形で、終点・浦和美園駅の手前で地上に出る路線である。埼玉スタジアム2002への主要な交通手段として多くのサポーターに利用されている。サッカーの試合開催日には、臨時の3番線ホームが活用され、臨時ダイヤが組まれ、列車が増発される。また試合終了後には浦和美園方面からは普段は存在しない鳩ヶ谷行や市ケ谷行などの臨時列車も運行される。この臨時列車を除き全列車が赤羽岩淵駅から東京地下鉄南北線に直通している。検討段階だが、東武野田線の岩槻駅を経てJR宇都宮線の蓮田駅に至る路線延伸も計画されている。


埼玉高速鉄道線のホームドア

写真2 埼玉高速鉄道線のホームドア



・車両について

地下鉄9000系

 9000系は南北線開業に合わせて新たに設計されたもので、南北線の特徴であるATO(列車自動運転装置)、ホームドア、ワンマン運転に対応した最新のシステムを搭載しており、南北線のラインカラーであるエメラルドグリーンの帯が入っている。南北線の部分開業時には4両編成だったが、1996年の四ツ谷延伸開業時から6両編成で運行されている。自動放送装置や車外スピーカー、通常の車掌用放送装置、ドア開閉装置も備えており、運転士が直接目視で閉扉を行う場合や、臨時列車として車掌が乗務する際などに使用される。また、営団として初めての車椅子スペースや、車内のドア上部に2段式のLED式旅客案内表示器を設置している。このほかに車両は独自の発車サイン音を持つため、東京地下鉄の中でも特殊な存在となっている。ATOによる自動運転を行うため、ドア扱いボタン、発車ボタン、非常ボタンなどが所狭しに並べられており、右側には運転支援装置(TIS)のモニターが組み込まれている。


南北線9000系電車

写真3 地下鉄9000系




東急3000系

 目黒線向けに1999年から投入した3000系は、側面は窓下と幕板部に東急のコーポレートカラーの赤を基本としながら、アクセントとして濃紺と白のラインが貼られている。客用ドア上部には東急の車両で初めて千鳥配置の2段LED式の旅客案内表示器、ドアチャイムを採用した。表示器の設置していないドア上部には広告枠と戸閉開閉予告灯が設置してある。ユニバーサルデザインの一環として一部に100mm低い1,530mmのつり革を設けている。ワンマン運転用にドア開閉ボタン・ATO出発ボタン・非常停止ボタンなどがある。上部にはホーム監視モニターが設置されている。また右側には車両情報装置 (TIS) 表示器が収納されている。TISでは制御伝送機能・搭載機器の動作確認・行先表示の設定や空調装置・自動放送・車内表示器などのサービス機器の操作機能があり、ワンマン運転時の乗務員支援装置としての機能がある。保安装置はATC・ATO及びTASCを搭載する。東急目黒線内ではATCとTASCを使用しており、力行時は運転士の手動操作、駅停止時のブレーキ操作はTASCで自動停止する。



東急5080系

 2003年3月に5080系として目黒線へ投入された。(5181F・5182F)は各ドア上に2段LED式の案内表示器を1台搭載して、5183F以降では各ドア上に液晶ディスプレイを山手線のE231系500番台と同様に2台搭載している。左側は「TOQビジョン」として通常は主にCMを放映する他、異常時には路線図で支障区間の表示も行い、右側は通常は次停車駅、乗り換え案内、ドア開閉方向、駅ホーム設備案内などを表示する他、異常時には文章で情報を表示する。一部のつり革はユニバーサルデザインの一環で、従来より設置位置を100mm低くしている。5080系はワンマン運転対応となっており、TASC(定位置停止支援システム)とATO(自動列車運転装置),ATC(列車自動運転装置)を搭載している。




写真4 東急5080系




埼玉高速鉄道2000系

 帝都高速度交通営団・東京急行電鉄・東京都交通局・埼玉高速鉄道の4者による直通規格に合わせた仕様で、ATOやホームドアによるワンマン運転に対応した設計になっている。車体外部にはコーポレートカラーであるブルーとアクセントとしてグリーンのツートンカラーのラインを巻いている。営業運転開始は2001年3月23日だが、27日までの5日間は、直通運転先の武蔵小杉〜赤羽岩淵間で営業運転を行い、埼玉高速鉄道線内は開業前の線路を、乗客を乗せずに運転していた。このため、この5日間は「赤羽岩淵」の行先表示が見られた。保安装置はATC・ATO(埼玉高速線・南北線で使用)・TASC(東急目黒線で使用)を搭載している。車内のドア上部にはLED2段表示式旅客案内表示器が千鳥配置で設置されている。2006年からは千鳥配置で案内表示器のないドア上に順次液晶ディスプレイを取り付け、「Sai-Net Vision」として放映されている。


埼玉高速線2000系電車

写真4 埼玉高速鉄道2000系




おわり


 
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